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コーヒーとカフェイン

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コーヒーの成分として、最も有名なものはカフェインでしょう。コーヒーとカフェインは切っても切り離せないほど密接な関係ともいえます。

コーヒーが嗜好品として、世界中に広まり、栽培され、そして長い間飲み続けられた理由の一つにカフェインが含まれていることは大きな要因です。

味・香りだけではなく、カフェインがもたらす覚醒等の生理作用が人類にとっても有益であったため、商業的に世界的飲料になったとも言えるでしょう。

コーヒー(植物)におけるカフェインの役割

そもそも、なぜコーヒーという植物はカフェインを作るのでしょうか。
カフェインには、他の植物の生育を阻害する作用があり、地面に落ちた種子から溶け出して周りに広まることで、近くに飢えている植物の生育を抑えて、自分だけが生育できるように利用していると考えられています。

また、カフェインは一部の昆虫に対して毒性を示し、これらを寄せ付けない効果があります。つまり、カフェインは外敵による食害から、自身を守るために作りだせるようになった盾であると言えます。
しかし、現在では、コーヒー農園にカフェイン耐性のある虫も多数存在しています。コーヒーがカフェインを作るようになった後、虫たちも進化をしたようです。

飲料中のカフェイン量

コーヒーと同様にカフェインが含まれている飲料であるエナジードリンク(レッドブル:32mg/100ml)やお茶(以下の表)比較をしてみてもコーヒーが多いことが分かります。

参照「日本食品標準成分表2020(八訂)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

あくまで目安ですので、実際はどのような品種、焙煎、抽出など各要素によっても変わってきます。

例えば、アラビカ種とロブスタ種でもカフェイン量が異なります。
一般的な目安として、ロブスタ種の方が1.5~2倍程度はカフェインが多い傾向です。
アラビカ種のなかでも、ローリナ種と呼ばれる品種など、カフェインが他のアラビカの半分程度しか含まれない品種も見つかってきています。

カフェインの機能 なぜ覚醒して眠気がなくなるのか

カフェインは、神経を鎮静させる作用を持つアデノシンという物質と化学構造が似ており、ヒトの体内においてアデノシンが作用を発揮するために結合しなければならない場所(受容体)に結合します。その結果、アデノシンが受容体に結合できなくなることで、その働きが阻害され、神経を興奮させます。

カフェイン中毒・カフェイン離脱

短時間のうちに大量にカフェインを飲んだ際、不安・不眠などの精神症状や、手足の震え、動悸、胸焼けなどの症状がおこる場合があります。

精神疾患診断の基準の一つ(DSM-5)としては、250mg以上のカフェインを摂取し、複数の症状が出る際に「カフェイン中毒」としています。やや厳しめの数値になっているため、この量で誰にも必ず症状がでるわけではありません。

また、普段からコーヒーなどを常用する人では、最後の摂取から半日~2日後に、頭痛や集中力の低下、疲労感、眠気などの症状がでることがあり「カフェイン離脱」と呼ばれています。特に頭痛の症状が顕著にでるため、「カフェイン離脱頭痛」とも呼ばれます。

カフェインの規制と摂取基準

各国や団体ごとに見解を示しています。

あくまで目安ですが、摂取の上限値です。

成人 400mg/日まで

・妊婦 200-300mg/日まで

世界保健機関(WHO)

2016年には、妊婦のカフェイン摂取に関する勧告を公表し、1日300 mg 以上の高カフェイン摂取の妊婦では出生時の低体重、流産や死産のリスクが高まる可能性があるとして、それらのリスクを低減するため、1日300 mg 以上の高カフェイン摂取の妊婦に対し、妊娠中はカフェインの摂取量を減らすように注意喚起しています。

米国(アメリカ)


米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では、1日当たり400 mg(コーヒーでは4~5カップ程度)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。ただし、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方は、カフェインの摂取による影響を受けやすくなる場合があるため、かかりつけ医に相談することが推奨されています。また、FDAでは子どもでのガイダンス値を設定していませんが、米国小児科学会(AAP)は、子供はカフェインを含めた刺激物の摂取を抑制すべきとしています。

欧州

欧州食品安全機関(EFSA)は、2015年にカフェインについてリスク評価を行っています。
大人では、カフェイン摂取量が3 mg/kg体重であれば急性毒性の懸念はないとし、1回当たり200 mgのカフェイン摂取(体重70 kgの大人で約3 mg/kg体重)であれば健康リスクは増加しないとしています。
また、習慣的なカフェイン摂取に関しては、妊婦を除く大人では1日当たり400 mgまでであれば健康リスクは増加しないとしています。妊婦及び授乳婦については、習慣的なカフェイン摂取に関し、1日当たり200 mgまでであれば、胎児や乳児の健康リスクは増加しないと評価しています。子供については、長期的・習慣的なカフェイン摂取に関する研究が少なく不確実性が残るものの、大人と同様、3 mg/kg体重/日であれば悪影響が見られないと推測されるとしています。

日本

日本では、明確な基準値は示していません
注意喚起という形で情報提供をしています。

●内閣府食品安全委員会
妊娠前から出産前後の食生活でとくに気をつけたいことの中で、妊娠中にカフェインを摂り過ぎると、胎児の発育に影響が及ぶ可能性が指摘されているとして、カフェイン摂取量をゼロにする必要はないが妊娠中はいつも以上にカフェインの摂り過ぎに注意するように注意喚起をしています。

●厚生労働省
清涼飲料水など食品に含まれるカフェインを過剰摂取しないよう、Q&A形式で注意喚起しています。食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A(厚生労働省)

●国民生活センター
飲料のカフェイン含有量を調査し、消費者へのアドバイスや業界事業者への要望を行っています。
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20211104_3.html

コーヒー飲むべき時間は起床90分後から

朝起床してから~90分程度の間に、体や脳を起こすためにセロトニンという脳内の神経伝達物質が分泌されます。カフェインはこのセロトニンの分泌を妨げるため、この時間内にカフェインを摂取してしまうと、一時的には覚醒しますが、その後の日中の活力や睡眠の質も低下させてしまいます。

そのため、コーヒーは起床後90分以降からの摂取を意識すると良いでしょう。

また、カフェインには、胃酸の分泌を促進する効果もあるため、胃への負荷を避けたい場合は食前より、食中・食後の方が望ましいと言えます。

美味しいデカフェという選択

上述の通り、起きたてすぐや、夜(睡眠の4時間前~)のコーヒーは日中のパフォーマンス向上、脳そして良質な睡眠のためにも、控えた方が良いとされています。

それでも、早朝も夜もコーヒーを飲みたいという人は、デカフェ・カフェインレスの商品で代替しましょう。

ブルーボトルコーヒーのデカフェはカフェインレス特有の大豆っぽさや、すっぽ抜けた質感が少なくコーヒーの香りもしっかり残っていておすすめです。

あわせて読みたい
カフェインレス・デカフェコーヒーを解説
カフェインレス・デカフェコーヒーを解説

(参考文献)

・農林水産省 Webサイト
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html

・コーヒーの科学(講談社ブルーバックス)旦部幸博 著

・カフェイン、アデノシン構造式(wikipedia)

・カフェインとセロトニンとメラトニンの関係
https://bridgest-english.com/2021/08/22/morning-coffee-trap/
https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20210629173311/

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