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コーヒー相場・価格変動を解説

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コーヒーの価格

コーヒーは嗜好品でありながら、コモディティとしてニューヨーク市場(アラビカ)もしくはロンドン市場(ロブスタ)で先物取引されるため、株や石油のように毎日値動きをします。

そのため、コーヒー相場は激しく乱高下することもあり、2001年はブラジル・ベトナムの増産を受けて価格が下落、2011年は中米のさび病やファンドの市場介入によって価格が高騰しています。

ファンドマネーの介在も起こり、価格の乱高下が非常に激しくなる傾向があります。
まるで金融商品のような側面も持っています

1 US cent(セント)= 0.01 US $(ドル)
1 lb(ポンド)= 約0.45 kg(キログラム)

2021年のコーヒー相場

2021年、コーヒーの相場が大きく動き、価格が高騰したことにより業界に激震が走りました。

2021年2月から上昇基調に転じ、5月28日には4年半ぶりに1 lb(ポンド)あたり160¢(セント)を超えるまでに急騰しました。

背景は、ブラジルが裏作(※)にあたるとともに、昨年11月から続く降雨不足の影響が重なることにより昨年度からの減産、コロナ禍で発生した海上輸送網の混乱などで供給不足、米国・欧州各国等の消費国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動再開とともにコーヒー消費量の回復が期待され、需給の逼迫の懸念等が指摘されています。

参考

(※)裏作とは?
コーヒーは1年ごとに「表作」と「裏作」を繰り返し、表作の年と裏作の年では、収穫量にかなりの違いが出てきます。

一般には、ある枝の果実が生長をはじめると翌年の花芽形成が抑制される傾向がありますので、ある年に沢山の果実がつけば、翌年の花芽形成数が減少して結果数が少なくなるのだとされています。詳細の解説は下記のHPを参照ください。

(参考)日本植物生理学会HP 「表作と裏作の要因」
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2557

さらにブラジルの霜害影響もあり、コーヒー相場価格は2021年7月末に一時200¢(セント)/lb(ポンド)を超えました。

適正な相場価格とは?

直近の相場だけでは、とてつもない高額になっているように感じますが、2014年も同水準にありましたし、さらに遡るともっと高騰している時期は幾度もあることが分かります。

(参考)INvesting.com 米国コーヒー先物 取引
https://jp.investing.com/commodities/us-coffee-c

一方で、これまでの価格が低すぎる状況でもあったとも言われています。

一説には、生産者にとっては、下記のような相場状況であると言われています。

・100¢/lb 以下 = 農園経営をあきらめざるを得ない

・150¢/lb 以上 = 生産者にとって農園を健全管理できる

・200¢/lb 以上 = 積極的投資ができる

生産者にとっては、また以前の相場水準に下がるということは、再び厳しい状況に追い込まれることにもなるかもしれません。

日本のコーヒー会社の対応

対して、コーヒー各社はこの相場上昇に対してまさに対応を迫られている状況と思われます。

UCC上島珈琲は、この事態に基づき21年9月よりレギュラーコーヒー製品の値上げを発表。

(参考)2021.07.08 UCC ニュースリリースhttps://www.ucc.co.jp/company/news/2021/rel210708.html

同じく相場上昇があった2014年にも同様に値上げをしていました。

(参考)2014.09.25 UCC ニュースリリース
https://www.ucc.co.jp/company/news/2014/rel140925.html

キーコーヒーもコーヒー製品の値上げを発表しています。

(参考)2021.08.06 キーコーヒー ニュースリリース
https://www.keycoffee.co.jp/news/2021/210806_1.html

コーヒーの価格変動に関する所感

コーヒーは世界中で最も親しまれている嗜好品の一つであり、多くの人に安らぎや喜び与え、人類の発展を支えてきました。

一方で、特に生産側で人種・貧困・環境破壊など問題を抱えており、政治、経済様々に影響を及ぼしています。コーヒーの生産は、そもそも農産物であるため、毎年一定の気候変動や病害虫のリスクを持ち、かつ上記のような変動相場にも左右されます。

相場に振り回されるこの仕組みは、コーヒー業界が今後もサステナブルに繁栄していくためには大きな足枷になるのではないでしょうか。

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