産地別コーヒーの収穫期
コーヒーは各生産国の気候によって収穫期が異なり以下のように大別されます。
①北半球の産地(10月~3月頃)…中米(グアテマラ・ホンジュラスなど)、エチオピア、ベトナムなど
②南半球の産地(4月~9月頃)…ブラジル、タンザニアなど
③赤道付近(年に2回)コロンビア、インドネシア、ケニアなど
コーヒーは主に乾燥後の雨をシグナルとして花が咲き、6~8か月ほどで実をつけ収穫されます。
赤道から離れた産地は、雨季と乾季が明確に分かれるため、収穫期も偏ることになります。
一方で、赤道付近の産地では雨季と乾季の明確な区別が無く、収穫期が分かれたり通年に及ぶこともあります。
例えばコロンビアでは、大部分の10月ごろから収穫されるものをメインクロップと呼び、中南部の一部エリアで4~5月ごろに収穫されるものをサブ(ミタカ)クロップと呼びます。
コーヒーの開花
コーヒーの花芽は、ある程度の大きさの蕾(つぼみ)にまで成長すると、一旦休眠状態に入る性質をもっています。初期段階の花芽では、植物組織の成長を促す植物ホルモン※であるジベレリンの濃度が上昇していきますが、ある程度まで生育すると減少して成長が抑制されます。また、アブシジン酸には乾燥ストレスによって誘導される性質があり、ジベレリンとは逆に花芽の成長を抑制する働きを担っています。
この二つの植物ホルモンのバランスにより、乾季についた蕾は、開花一歩手前まで成長した後、休眠状態に入ります。やがて雨季にはいると、吸水が引き金になってアブシジン酸が代謝・不活化され(シトクロムP450の一種である酸化酵素CYP707Aの発現誘導が関係すると考えられている)、一気に開花が誘導されます。
※植物ホルモンとは、植物によって産生され、植物に対して微量で生理作用を示す化合物の総称。
(参考文献)
「コーヒー検定教本」全日本コーヒー商工組合連合会
「スペシャルティコーヒー大辞典」 誠文堂新光社
「新版 THE COFFEE BOOK」 日経ナチョナル ジオグラフィック社
「現代化学No.583 2019年10月号 p37」東京化学同人