【解説】タンザニア産 キリマンジャロコーヒー
キリマンジャロ コーヒーとは
「キリマンジャロコーヒー」は『全日本コーヒー公正取引協議会』の定める公正競争規約によると、以下のように定義されたコーヒー豆の銘柄です。
タンザニア産アラビカコーヒー豆をいう。
ただし、ブコバ地区でとれるアラビカコーヒー豆は含まない。
ブコバ地区は主にロブスタの産地とされています。定義が広いので、日本で販売されるコーヒーでは、ほとんどのタンザニア産アラビカ豆は概ねキリマンジャロと表示することができるでしょう。
キリマンジャロはタンザニア北部の山の名前でもあります。
実際にタンザニア産コーヒーより、『キリマンジャロ』のほうがブランドとして認知されているのではないでしょうか。タンザニアでは、TCB(TANZANIA COFFEE BOARD)がプロモーションの一環として決定した名前とされています。
『ブルーマウンテン』や『コナ』、『モカ』と同じように、特に日本ではブランド力のあるコーヒーの銘柄として知名度が高いですね。
AGFの「贅沢なコーヒー店」やUCCの「ゴールドブレンド」など有名な商品でもキリマンジャロブレンドとして販売されていて人気があります。
一般的には、しっかりとした酸味とコク、芳醇で重厚な風味が特徴とされています。
タンザニア産コーヒーの歴史
タンザニアやケニアのコーヒー栽培は、19世紀後半に布教目的でこの地に入植した聖霊修道会(Congregation of the Holy Spirit)のフランス人宣教師たちによって広まりました。1877年にA・オルネ神父がレユニオン島(ブルボン島)の品種ブルボンを持ち込んだのが最初。ティピカと並んで「アラビカの2大品種」とも呼ばれるブルボンは、1859年にブラジルに持ち込まれて中南米に広がりましたが、東アフリカにはそれと独立にレユニオン島から直接伝えられました。その後1880年にはE・バウー神父がイエメンで購入した種子を「モカ」の名前で持ち込み、栽培しているうちに両者が交雑して、ブロンズ色の新芽をもつブルボン(レユニオン島や中南米のブルボンの新芽は緑色である)になったとされています。このため、タンザニアやケニアのブルボンは「フレンチミッション(フランス宣教団)ブルボン」と呼ばれるようになりました。
参考文献:現代化学 2021年10月号p28