書評
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人生生涯小僧のこころ

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『人生生涯小僧のこころ』

著者 塩沼 亮潤

発行 到知出版社 平成20年3月10日 第一刷発行

著者の塩沼亮潤氏は仙台にある慈眼寺の住職です。

大峯(おおみね)千日回峰行という荒行を満行されたことで有名で、テレビ出演や講演などもされています。

 「大峯千日回峰行」は、奈良県吉野山にある金峯山寺蔵王堂(354m)から24㎞先にある山上ヶ岳(1719m)頂上にある大峯山寺本堂まで、標高差1355mある山道を往復48㎞、1000日間歩き続ける修行です。

さらにその後、四無業と呼ばれる「食べず、飲まず、寝ず、横にならず」を9日間続ける行も満行されています。

まさに偉人です。

「小僧のこころ」を持ち続ける

本書は、著者の生い立ち、修行の内容や過程、そこで感じ考えたことが書かれています。常人では決して体験することのない経験をされた大阿闍梨(だいあじゃり)の思考を通じ、人生訓として学びの多い書籍です。

タイトルの『人生生涯小僧のこころ』は、千日回峰行の満行前夜の思いを記したものです。小僧の頃の初心を忘れてはならないと強く感じたこと、特に、小僧の頃の素直な気持ちや謙虚さ、情熱を持ち続けることの大切さを説いています。

 私が書籍を初めてよんだ数年前、大きな衝撃を受け、当時新幹線や電車・バスを乗り継ぎ、護摩法話を聞きに仙台の慈眼寺に行ったことを思い出します。

説法でも素直さや情熱の大切さをお話しされていました。

物腰柔らかなでありながら太い幹のような印象で、立ち居振る舞い・語り・表情から、いわゆる「悟りを開いた人」はこのような人なのかと畏れを覚えた記憶があります。

人生で一番大切なこと

様々な行の中で、著者は人生で生きていく上で一番大切なもの

「足ることを知ること」

「人を思いやること」

であるとして以下のように説いています。

  • 自分に与えられた環境を他を比較して僻むのではなく、最高のものであると感謝すること
  • 自然(空気・水・お天道様)や回りの人(家族・友人・同僚)すべてへの感謝、愛情を持つことが重要

100km走って学んだこと

大阿闍梨と比較するのはおこがましいですが、私自身の経験では、昔、沖縄で初めて100kmマラソンに参加したことがありました。

100kmの長距離を一日で走り切るという過酷なレースで、自分にとっては大きなチャレンジでした。後半体力がなくなり、限界ギリギリの最も苦しい時に感じたことは「感謝」の気持ちでした。

(夜明け前にスタート、制限時間は14時間)

 スタート直後は町並みがきれい、海がきれい、近くに走っているあの人のぺースを参考にしよう、あの人には負けたくない、など様々なことを考えますが、体力が無くなるとともに、自分の無力さを感じ、考えることが難しくなってきていました。

その後、芽生えてくる感情は「感謝」のみでした。

  • 五体満足、健康な体で生み育ててくれた親への感謝
  • 一緒にいてくれる家族への感謝
  • 沿道で応援してくれる人への感謝
  • 大会運営をしてくれているスタッフへの感謝
  • 年休を取ることができた会社への感謝

そもそもこのような挑戦ができる環境であることはとても恵まれている。
その環境を作ってくれた様々感謝のみを思いながら、ひたすた歩を進めることで無心ながら、無事にゴールすることができました。

しかし、ロングランからしばらく経過すると、また当時の感謝の気持ちが少なくなっているようにも感じます。

定期的にこの本を読み返し、初心に帰りたいと思います。

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